sample text
きらいな人の名を貝殻に書いて海に流してやると、その人が町にいられなくなってしまう――ということを本で読みました。古代アテネの人たちの貝殻追放の話です。少女はそれを読んだとき、どうしても、この町から追い出したい一人のひとのことを考えました。
少女は机の抽出しをあけて、一つの貝殻をとりだしました。そしてその貝殻に、鉛筆で「夏子」という名を書きました。それから少女はその貝殻をバッグにいれて海岸行きのバスに乗りました。
朝の海岸には、だれもいませんでした。波が消し忘れた昨夜の砂文字が、遊びすごした鳥のように陽に疲れて少女の足許にありました。少女は自分の貝殻を流してやるために、その砂文字をまたいでいきました。レーモン・ラディケの、詩を思い出しながら……。
「砂の上に僕等のように 抱き合っている砂文字 このはかない紋章より先に 僕等の恋が消えましょう」
少女が貝殻に書いた「夏子」という名は、少女の友だちの名ではありませんでした。少女の母の名でも、少女の姉妹の名でも、少女の先生の名でもありませんでした。それでも、この少女のいたずら?で、あすは町から「夏子」が一人、いなくなることでしょう。
寺山修司『ひとりぼっちのあなたに』
Tags Sample
<em>強調</em> <strong>さらに強調</strong>
<ins>追加する</ins> <del>削除する</del>
文字を薄くする:<span class="light">~</span>
文字を背景色と同化:<span class="none">~</span>
Blockquote
引用文。テキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキスト
テキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキスト
Preformatted Text
text text text text text text text text text
text text text text text text text text text text text text text text
text text text text text text text text text text text text text text text text text text text